記事監修代表取締役社長
旦壮之助
広島のハウスメーカーとして 「人と地球に優しい 家づくり」 を通じて、 大切な家族と過ごす空間づ くりを提案。 2022年にはUa値 0.25を達成し、 高断熱・高気密や省エネルギーな住宅づくりにも 注力している。
アイレストホームの家づくり ▶ここ数年、記録的な暑さが長く続きました。逆に冬は、強烈な寒波が日本列島を襲う天気に。地球温暖化に起因する異常気象が増えていることを肌で実感します。更に、電気などあらゆる燃料費も高騰しており、「快適」に過ごすための負担が急激に重くなっています。
しかし、今でこそ暖房と冷房で室内の温度を調整できますが、そんな技術がなかった昔の人たちは、自然の原理を使った知恵で暑さや寒さをしのいでいました。そこで、今回は風と空気に着目した快適な空間づくりについて考えてみましょう。
京都はその風土の特徴から全国的にも夏の残暑で有名な地域の一つです。江戸時代以降に建てられた京都の町屋は「うなぎの寝床」と言われ、表の店舗から奥の母屋まで一本の細長い土間でつなぎ、その間に中庭を設けるのが基本的な間取りでした。
実はこの町屋の間取りが風(空気の質)をうまく利用した天然の空調システムになっていたのです。
以下のような原理で風の流れが生み出され、家全体がまるで大きな扇風機のようになります。
朝や夕方、路地に打ち水をすることで冷えた空気を発生させ、そのまま風の流れに乗せて室内に運ぶことができるのです。これは気化熱(液体が蒸発するために必要な熱)が奪われ、冷えた空気が生まれる仕組みを利用しています。
このように先人たちは、空気の性質をうまく利用して「快適」に過ごせる間取りを考えていたのです。では、家づくりに空気の性質を取り入れた先人の知恵に習って、現代の家づくりにおける活用法を考察してみましょう。
熱帯夜が続く夏の寝室ではエアコンをつけて寝る方がほとんどですよね。比較的狭い寝室ではエアコンのオーバースペックもあり、体が冷えてしまう、なんてこともあります。
どうせなら他の部屋も1台のエアコンで冷やせたら理想的ではないでしょうか?しかし、夜、目を覚まして廊下に出るとドアを開けていたのに廊下だけ暑い!という現象が起こります。
これは空気の性質上、廊下の天井近くに溜まってしまう熱が原因です。そしてその暖かい空気を停滞させる原因が、ドア上部にある垂れ壁だったのです。
空気の流れを見てみると、寝室の冷えた風は下に降りますが、暖かい空気は廊下の上に溜まったまま循環していないことが分かります。熱が溜まった空間は一向に涼しくならない上に、廊下に出れば熱放射を受け体感温度が高くなります。
垂れ壁を取り外してドアを大きくすると廊下の上部に溜まった熱が動き出し、寝室からの冷たい空気により空間全体が冷やされていきます。
エアコンと同時にサーキュレーターの使用が勧められているのは、溜まりやすい上部の空気の流れを変えて循環させるためです。
続いて寒い冬の空気の流れについて考えてみましょう。どの部屋も窓辺が一番寒くなり、冷やされた空気は下降気流を生み出し、室内に流れ込みます。
さらに暖房によって暖められた空気の上昇気流に押され、冷たい空気は足元へとどんどん流れていきます。コールドドラフト現象と呼ばれるもので、足元の冷気によって体の芯まで冷え、実際の室温よりも体感温度が低くなります。
寒さの厳しいヨーロッパの地域では、このコールドドラフト現象の対策として、セントラルヒーティング(暖房器具)を窓の下に置くスタイルが一般的となっています。空気の流れに配慮した暖房システムにより、どの部屋も温度が均一に保たれ、「快適」に冬を過ごせるようです。
日本の住宅ではセントラルヒーティングのような暖房器具を目にすることが少なく、ベッドの頭上部に窓を配置する寝室が多いようです。
このため、コールドドラフト現象による冷えを起こしやすい間取りになっているケースが少なくありません。暖房をつけていても体感温度が低くなってしまい、寒さの大きな原因です。この現象も踏まえて、寝室のベッド・窓の配置を考えた設計をしていきましょう!
日本家屋には自然の力を使った知恵がたくさん詰まっています。空気の流れや原理を理解したうえで、住まいを設計することで快適なだけでなく、家計にも優しい暮らしが実現します。自然のエネルギーを無駄にしない家づくりならアイレストにお任せください。
記事監修代表取締役社長
旦壮之助
広島のハウスメーカーとして 「人と地球に優しい 家づくり」 を通じて、 大切な家族と過ごす空間づ くりを提案。 2022年にはUa値 0.25を達成し、 高断熱・高気密や省エネルギーな住宅づくりにも 注力している。
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