記事監修代表取締役社長
旦壮之助
広島のハウスメーカーとして 「人と地球に優しい 家づくり」 を通じて、 大切な家族と過ごす空間づ くりを提案。 2022年にはUa値 0.25を達成し、 高断熱・高気密や省エネルギーな住宅づくりにも 注力している。
アイレストホームの家づくり ▶2022年4月と10月に、国が定める住宅の省エネ性能を示す基準である断熱等級が、23年ぶりに追加されたことを知っていますか?
実はこれ、建築業界にとって激震が走るほどの大事件でした。
等級5~7が新設されるまで、日本では等級1~4という基準しかありませんでした。
住宅の性能に関わる重要な指標が変われば、家づくりも大きく変わります。
それぞれの違いをふまえてマイホームづくりに大きく影響する新しい基準について解説します。
そもそも昨今注目されている断熱等級とは一体どういうものなのでしょうか。
断熱等級の正式名称は「断熱等性能等級」といい、国土交通省が制定しています。
品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)に規定された省エネ性能を表す等級のことを示したものであり、
わかりやすくいえば「断熱性能を比較検討するためのモノサシ」です。
(参考:国土交通省「新築住宅の住宅性能表示制度ガイド」
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001594049.pdf)
断熱等級において「断熱性」を表す数値の指標をUA値と言います。
UA値とは、住宅の内部から壁、床、窓(開口部)、天井・屋根などから、どのくらいの熱が室内から外に出ていくのかを計算した数値で、
各等級の基準値として設定されています。
UA値は地域ごとに指標が異なっているのでお住まいの地域ごとに確認が必要です。
広島はだいたい5地域・6地域に分類され日本の標準値あたりに配分されています。
ただ、東広島市と広島市でも若干の基準値の差があり、庄原市については
4地域に分類をされています。
23年ぶりに改正された断熱等級ですが、なぜ重要なのでしょうか。
ポイントは家で光熱費を抑える、つまり”エネルギー消費”をおさえることが出来る点です。
自家用車を購入する際、重要な検討材料の一つに燃費が挙げられますが、
昨今、マイホーム購入時にも「燃費」で選ぶという方が増えてきています。
空調や給湯、照明など、生活をしていくために必要なエネルギーをできる限り抑える「省エネ住宅」への関心が高まっているのです。
上記のグラフは、家庭での用途別消費エネルギーを表したものですが、冷房・暖房が約30%を占めているのが分かります。
省エネのことを考えると、ここを抑えることが手っ取り早い方法なのです。
では、どうすれば冷暖房費を節約できるでしょうか。
やはり、温めたり冷やした部屋の空気(熱)を外に逃がさないことが大切でしょう。
また外気の熱を遮断し、室内を快適な温度に保つことも重要です。
つまり、家の断熱性能をアップさせることで省エネに繋がり、燃費の良い家となります。
魔法瓶のようなイメージを持つと分かりやすいかもしれません。
まず等級1は、江戸時代に建てられた家のような断熱性ゼロの住宅です。
映画やドラマの中でしか見ることはできませんが、想像するに、あまり快適な住居とは言えないようです。
四季のある日本では、夏に涼しく住めることが第一優先で、冬はかまどで火を焚くことで暖をとっていました。
等級2は、約40年前の昭和55年の基準で、壁の厚さが今の新築住宅の4分の1程と言われています。
特に冬が寒く、暖かい居室と冷たい風呂場の温度差がヒートショックの原因となるケースも少なくありません。
等級3は平成4年に追加されました。
平成に建てられた家でも、暖房を切った真冬には室内温度が5℃近くまで低下してしまい、夏の暑さも厳しいです。
そして、平成11年に制定された等級4では、ようやく壁の断熱性だけでなく、
開口部(窓や玄関ドア)などの断熱を必要とする基準が追加されました。
しかしながら等級4でも、アルミサッシ+ペアガラスにすることで達成できるレベルです。
各国の住宅の省エネ基準をまとめたものですが、青く囲われた【6地域(東京)】に注目してください。
気候区分【6地域(東京)】における各国の基準値を比べると、日本の基準がいかに遅れをとっているかが分かります。
米国カリフォルニア州と比べるとその差は倍以上です。
つい最近までわが国では、この等級4が断熱性能の最高基準と謡われていたのですから、ちょっと驚いてしまいます。
断熱はアルミサッシ+ペアガラスで十分と思われがちですが、これではまだまだ最低限のレベル。
世界の基準から言うと、日本は「断熱後進国」とも言える水準だったのです。
等級4が追加されてから23年後、ようやく国交省が重い腰をあげて動き出し、これら断熱等級がアップデートされることとなりました。
と言うのも、2050年にカーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指すわが国にとって、
住宅の省エネルギー性能を飛躍的に向上させる必要性がでてきたからです。
そのため、現行の断熱等級4の上位等級として、今年5月には「断熱等級5」を新設。
さらに「断熱等級6」「断熱等級7」を今年10月に追加し、表示基準および評価方法基準の全面的な改正が行われることになったのです。
一度に3等級の新設ですから、住宅業界に激震が走りました。
2022年4月から追加された等級5のUA値は0.60です。
この数値はみなさんも聞き覚えのある「ZEH=ゼロ・エネルギーハウス」の基準値で、2030年までに適合義務化を目指している指標です。
今後は「ZEH」基準が当たり前の世の中に進んでいくことになります。
2022年10月に新設された等級6のUA値は0.46が基準です。
等級6・等級7は、もともとHEAT20という民間団体が定めていた断熱性能基準を参考にしており、等級6は、HEAT20でのG2に相当します。
具体的には、冷暖房にかかる一次エネルギー消費量を現行の省エネ基準よりも約30%程度削減できるとされています。
等級6と同じく2022年10月に新設された等級7は、HEAT20での最高水準であるG3に相当。
冷暖房にかかる一次エネルギー消費量を現行の省エネ基準よりも約40%程度削減できるとされます。
等級7が現在の断熱等級の最高等級となります。
断熱等級4は2025年の義務化が決定しています。義務化と言っても、これはあくまでも最低ラインです。
義務化前だからと言って、現時点の基準をもとに家を建ててしまうと、資産価値があっという間に下がってしまうことになりかねません。
家づくりの際は、将来を先取りする気持ちで計画されることをおすすめします。
実のところ、大手のハウスメーカーは、等級4はクリアしているけど「ZEH」基準の等級5以上はまだまだこれから、というのが現状です。
等級で見ると、トップレベルを走るのは一条工務店さんです。
断熱へのこだわりは半端なく、等級7が標準仕様といいますから、他社の追随を許しておらず
断熱性能では世界レベルの住宅といっても過言ではありません。
そして私たちアイレストホームを含む「地域工務店グループ」が後を追います。
アイレストホームは、断熱性能は家づくりの基本と捉えて、等級6、7のレベルのクリアを目指しています。
各ハウスメーカーや工務店では、未来を見据えた住宅づくりに向けて「断熱性」を携えた戦略の立て直しが求められることに。
今後は国が仕掛ける「ZEHは当然、推奨はそれ以上!」の流れに歩調を合わせていくことになるでしょう。
省エネ住宅の断熱基準に新展開が起こる今、家づくりをお考えの方はこの動きに注目がしながら
家の断熱性をじっくり検討することが必要です。
記事監修代表取締役社長
旦壮之助
広島のハウスメーカーとして 「人と地球に優しい 家づくり」 を通じて、 大切な家族と過ごす空間づ くりを提案。 2022年にはUa値 0.25を達成し、 高断熱・高気密や省エネルギーな住宅づくりにも 注力している。
アイレストホームの家づくり ▶